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ヒントブックスへの手紙

雪あかり(地方公務員/青森市)

 川がながれていましたね。水鳥がいて、サギだったでしょうか。今でも初めて訪ねて行った日のことは、とてもはっきりと覚えています。


 ちょうどお昼にぶつかってしまって、たしか、ジャガイモとベーコンのソテーだったかを食べたように思います。まだ小さかった麻ちゃんたちがいて、時間がゆっくりすぎていきました。心のこもった味が旅に出て数日、外食の多かった胃にやさしく入っていきました。

 明石の市場へ連れて行ってくれましたね。瀬戸内海の魚を見るのは初めてでした。三方を海に囲まれた北の青森の魚とは全く違っていて、太刀魚をみたのはあのときが初めてでした。そして、小さな焼き物のお店に入りました。ささやかな楽しみなのと行ってみたお皿や茶碗は暖かい手のぬくもりが伝わってくるような器でした。今でもあのお店はあるのでしょうか。

 テレビがなくて、新聞もとっていなくて、本がたくさんあって、お話の朗読のテープが流れていて、ああこんなふうにして本屋さんがやれるなんて、考えもしなかったので、わたしがやりたかったことはこんなことだったのかもしれないと思ったのです。とても豊かな時間がそこにありました。


 ちょうど小学校に入った息子と保育所に通っていた3歳の娘がいて、子育ての時に出会ったヒントブックスは、クリスマスカレンダーや、木のパズルや、私の大好きなものを子供にかこつけて買うことができてそれはそれは楽しみでした。

 ヒントブックスとの出会いはいつのことだったでしょう。十数年前になりましたでしょうか。合成洗剤追放運動をしていた頃でした。環境問題に関する研究会の機関誌を購読していた一読者だった私に、嫌煙権運動を始めていたその研究会の機関誌発行人だったWさんが、こんな本屋があるよといって知らせてくれたのでした。


 今も相変わらず、家の玄関にいろいろの「石けん類」が積んであって、時々頼まれて持って歩いています。タバコのほうは3年前からようやく職場も禁煙になり、冬の気管支炎から解放されました。

 ずーと本屋にいて、いつまでもいて、本をみていられたらどんなにいいだろうといつも思っていたのに、今は本屋に入るほんの少しの時間もないような毎日です。それだけに、書評や広告で見て、読みたいと思っているうちに気がついたときはもう店頭にでていないというようなことが続くと、ヒントブックスの存在はありがたいですね。


 そして、もうひとつ。大好きな紅茶のことがあります。ケニヤ紅茶で入れるミルクティは毎日のごはんと同じように、飲まないと何か忘れ物をしたような気がするくらいになっています。何よりもアジアやアフリカの農園から莫大な利益を上げて現地の農民に正当な対価を支払わないかの国の大メーカーではないのもうれしい。

 本屋にいく楽しみは捨てがたいものがありますが、きちんと本のことを知っている店員さんがいなくなって、つまらなくなってきました。いつか読もうと思って買ったままの本が家のあちことに積んでいます。本を読もうと思わなくなったらいけないよと、それらの本に語られているようです。

ヒントブックスから、ひとこと

 雪あかりさんがヒントブックスを訪ねて来られたとき、茅や麻はまだ小さかったですね。「朗読のテープ」とあったので、そうだそうだと懐かしく思い出しました。あれはピーターラビットの絵本を朗読しているCDでした。子どもに「覚えてる?」ってたずねると、「こわい話やった」と言っています。


 確かお仕事で大阪まで来られて、ちょっと足を伸ばされて……。あの頃はタバコ問題やせっけん運動にも取り組んでいました。我が家ではだれもタバコを吸いませんし、部屋には「禁煙ありがとう」のポスターを壁に張っていました。放し飼いのみーちゃん(セキセイインコ)がぼろぼろにしてしまって、今はもうないのですが……。


 雪あかりさんとは遠く離れていますが、話が合うので電話して声をきくのも楽しみです。ハーブを庭につくられていて、ときどき郵送してくださいます。そのうちいつか、きっときっと青森へ行きますね。

2002.10.1


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