| 『AGGRE』(あぐれ) 1994年 第6巻 (1994年11月 リクルート発行) |
| 浪花の書店だより 34 裏を狙って成功すると当たり前に感じるから不思議 |
| 宮脇清敏 (大阪・リブロ梅田ロフト店) |
| ムテンポ〜オ いいじゃない 「お茶の間ショッピング」じゃないんだから…実物を確認せずに本を購入するなんて、なんて大胆、無謀。そんなエゲツない人らとは、やっとられませんワ! ホナさいなら。(…オイオイ) 「ヒントブックス」さん。無店舗販売=邪道、仕事場兼ご自宅が神戸よりさらに西側の明石=不便、そんな単純な理由で、この"本屋さん"について知りたいというリクエストが殺到していることは知っていながら、取材におじゃましなかった怠け者は誰だ? 「ハイ、私です」。 こちらは、会員制の無店舗書店。年額3600円の会費で会員になった方からの本の注文には、絵本から専門書まで、雑誌・書籍の別なく、全国どこでも(海外でも)、近くには配達し、遠くには宅配しています。 それだけではなく、「客注&レファレンス」という本屋が最も嫌がる業務を、一つのビジネスとして完成。その結果、書店業界が抱える諸問題も、一挙解決。従業員は、山田利行・輝子ご夫妻だけで、人件費は最小限。返品率は∞ 0 (限りなくゼロに近いという意味なんですが、ワカル?)。万引0件。デッドストックなし。在庫関係なし。……いいことずくめ。 ♪私しゃ本のサジェッション屋さん♪ でも、ただ一つ「お客さんが手にできる本がない」という、本屋としては致命的と思えるハンディがあります。しかしそれも、山田氏の書店に対する持論によって、一転、最大のセールスポイントに変えています。 「モノがあれば、売る方も買う方も、とりあえずはお店にあるモノで済まそうとするでしょう。でもその一冊が、本当に最良のモノなのかどうか? どんなに大きな書店でも、在庫数には限りがあるし、たまたま棚に入っていない場合も考えられる。初めからモノがなければ、いろいろなデータを駆使しながら、お客さんと二人三脚で選んでいくことができるでしょう。買っていただく一冊の本以外の知識も、提供できるし」 ベストセラーしか読まない人や、趣味で本を読む人には、大型書店の平積みから買ってもらえばいい、とお考えになっているようです。例えてみれば、マル紀(脚註1)さんは大学病院、ヒントブックスさんは町医者。一人ひとりの顔が見えています。「あふれる出版物の中から、最良の本の選択をサジェッションできればいい」というお考えだそうです。 無店舗だから開発しました このシステム 月2回発行される『通信』で、会員にさまざまな情報を発信。会員からは種々の問い合わせが寄せられます。 小売業の原点を発見。効率だけを求めて、一般の書店が削ぎ落としてきたものが、ここにはありました。そしてそれを支えるために、シビアに考え抜いたシステムを確率させています。コンピュータあり、トーネット(脚註2)あり、FAXあり……。客注調達日数まで、確率で割り出せます。でも、詳しくはマル秘(脚註3)です。 これ、全国どこでも使えるソフトです。「どなたかご入り用の方には、安う売らしてもらいます」とのこと。やっぱり商売第一ね。 〈オマケ〉 明石市=日本の標準時・東経135度の通るところ。蛸と『源氏物語』で有名。卵がたくさん入っていて、汁で食べるタコ焼きは『明石焼き』って言います。 |
当ページ再掲載時の注釈
|