| 朝日新聞(大阪本社版) 2000年1月24日・朝刊 |
| [見出し] コラム「本の周辺」 店なし販売、全国から注文 |
| 店を持たない書店だ。全国の会員の注文に応じて本を取り寄せて発送する。山田利行さん(49)と妻の輝子さん(53)が1984年に自宅で始めた。現在の会員は約350人。北海道から沖縄まで、海外にもいる。 ファクスや電子メールで会員から送られた注文を見て、山田さんらが出版社に発注する。それに応じて運ばれてきた本や雑誌を、会員に宅配便で発送する。注文した会員が、本を手にするまで約1週間。利行さんによると、「大手出版社ほど、遅い」そうだ。 会員は様々だ。入院していたり、介護中だったりして書店に行けない人、忙しくて行く時間がない人などがいる。多い人では、毎月10万円以上注文するという。 大阪や東京のような都市部の会員も多い。立ち読みもできずに本を買うことに、不安はないのだろうか。「本探しが上手な人なら、データベース検索などで必要な本は絞っているはず」と利行さんは話す。一日に何度も注文を出してくる会員もいる。「広告などで本を知ったその場で注文しているのでは」 ヒントブックスのもう一つの売り物はレファレンスサービス。本に関する相談を受け付ける。例えば「吉村昭の最新刊は」といった問い合わせに答える。 創業から15年を経て、会員同士のネットワークも生まれている。あるとき、宮沢賢治の文章の一節が、どの本にあるか、という質問を会員から受けた。利行さんが賢治に詳しい会員に問い合わせて、回答を得ることができた。いわば本・知識を介したつき合い、といえそうだ。 最近は大手書店がインターネットでの書籍販売を始めるなど、ライバルが登場 している。「注文を受けた本を、正確に速く届ける、という自分たちの仕事をきちんとこなしたい」と利行さんは話している。(京) |
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