| 朝日新聞(大阪本社版)家庭面 1997年9月26日・朝刊 |
[見出し]
「6畳間書店」 奮闘中
あんな本こんな本 細かく探してハイ郵送
明石の会員制「ヒントブックス」
店舗持たず夫婦で13年 情報提供も充実 |
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全国各地のお客さんから注文を受けた書籍を、郵送で手元に届ける会員制のユニークな「無店舗書店」が兵庫県明石市にある。山田利行さん(46)、輝子さん(50)夫妻が経営する「ヒントブックス」。自ら工夫した発注システムと、大型書店には望みにくい、きめ細かい本探しや書籍情報を売り物に、書店通信も充実させ、独自路線で奮闘している。 |
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JR明石駅から西へ歩いて約10分。4DKのマンションにある6畳間が「書店兼オフィス」だ。
部屋にはファクス、コピー機、パソコンが置かれ、利行さん特製の発注管理ソフトで注文の本の情報を入力すると、直接、出版社へ送信される。廊下には取次店を通じて届いた本が、発送を待つばかりの状態で積まれていた。書籍小包や宅配便を活用するので、会員が負担する送料は最高でも400円という。
二人が無店舗書店を開業したのは1984年。大学時代に図書館学の講義を取った利行さんは本の検索や分類が得意だった。当時かかわっていた市民運動で、メンバーたちの読書相談に乗っているうちに、商売で本を扱いたいと考えるようになった。「本探しや検索も兼ねた本屋を」と、とりあえず自宅で無店舗で始めた。
通常、本の取次店は個人の無店舗店とは取引しないが、現金取引で百科事典を大量にさばくなど実績をあげて例外的に認めてもらった。
会費は月300円。注文や本についての相談は電話、ファクス、はがきに加え、今は電子メールでも応じている。注文から入手まで時間のかかりがちな書籍類だが、一昨年1月の阪神大震災前は平均5〜6日の取り寄せ日数を実現していた。
地元も周辺も大きな被害を被った震災後はさすがに注文が減り、神戸市の取次店の損壊などの影響で取り寄せ日数がやや延びたが、それでも平均7〜8日。会費や本の代金は、月単位で郵便局の口座自動引き落としで支払ってもらう方式だ。
店名の「ヒント」は「手がかり」という意味。会員には、たとえば書名や出版社が一部分しか分からない場合でも、わずかな手がかりから本を探すサービスを
している。品切れや絶版の場合には、入手の可能性の有無も伝える。
また、著者や分野の相談にも乗っている。これまでにも「警察庁の官僚組織に関する本を調べて」「二千円以内で佐倉惣五郎についての本がほしい」「アトピーの本をリストアップして」などといった相談に答えてきた。
会員は北海道から沖縄まで全国各地にいる。自宅で私設図書館を開く主婦、年金の中から「安藤昌益全集」や「南方熊楠全集」を注文するお年奇り。書店に行けない体の不自由な人も。会員相互の情報交換の場にと、書店通信も9月号から刷新した。
都市部では大型店や郊外型店の開業が相次ぐが、個人の経営する小さな本屋は年々滅っており、状況は厳しい。だが、利行さんは「うちが持つ書店プラスアルファの部分は大書店にはない強みだと思う。これからも本好きのお客さんを増や
していきたい」と話す。問い合わせはファクス078-922-1188、またははがきで〒673 明石市西新町2の1の6の405 ヒントブックスへ。
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当ページ再掲載時の注釈
- 原文には写真1枚ありましたが、割愛しています。
- 写真に付けられていたキャプション
- 「会員さんに『なじみの本屋』と感じてもらえば最高ですね」と話す山田さん夫妻
- 原文は縦書き。横書きにするために漢数字を一部 算用数字に書き直しました。
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